1986y ポルシェ 911 turbo ヨーロッパ新車並行輸入車

1986y Porsche 911 turbo ヨーロッパ新車並行輸入車
年式 | 1986年 |
走行距離 | 5.6万km |
外装色 | ブラック |
内装 | ブラックレザー |
車検 | 平成32年6月 |
車輌価格 SOLD OUT | |
オプション詳細他
・3299cc 空冷水平対向6気筒300ps/5500rpm 42.0kg/4000rpm ・4速MT(915型ポルシェシンクロ) 装備 ・スライディングルーフ ・ブラックレザースポーツシート ・シートヒーター ・RUF17インチアルミホイール ・RUFブラックレザーステアリング ・純正フラットノーズ用マフラー ・リアワイパー ・ETCユニット ・フロアマット ・ブラックシートベルト 整備履歴 ・H20年10月5日 54,200km エンジンオーバーホール ・H28年4月29日 55470km 24カ月車検点検 日之出モータースにて リアフューエルポンプ・ウォームアップレギュレーター・オルタネーター・ファンベルト・エンジンオイル・オイルフィルター・ドレンワッシャー・ミッションオイル・ステンメッシュブレーキホース・ブレーキフルード ・フューエルキャップパッキン・ホイールロックナット・ボンネットフードダンパー・エンジンフードダンパー交換、ステアリングシャフトサポートリング取付 ・H28年6月4日 55485km 臨時整備 日之出モータースにて クーラー真空引きガスチャージ ・H28年6月25日 55514km 臨時整備 日之出モータースにて フューエルタンクストレーナー点検 ・H30年11月15日 55763km 臨時整備 専門ファクトリーにて シフトリンケージカップリング・シフトリンケージスリーブ交換 ・H30年11月28日 撥水ガラスコーティング施工 |
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備考
マニアックな車が入庫致しました。1986y Porsche911turboです。 昭和61年(1986年)に新車で日本に輸入されたヨーロッパモデルの911ターボです。現在の走行距離は56,000kmです。 平成20年10月、54,200kmの時にエンジンのオーバーホールが行われており、10年間ほぼ走行距離を延ばす事無く保管されていたお車です。屋内ガレージに保管されていた為、外装内装ゴム類綺麗な状態です。 新車時のオプションは911ターボ・フラットノーズ用マフラー、スライディングルーフ、リアワイパー。アフターパーツではRUF17インチアルミホイール、RUF3スポークレザーステアリングが装備されています。 3.3Lエンジンは短めのクランキングで始動します。アイドリングで暖気をしていると外国人から写真を撮らせて欲しいと何度も声を掛けられました。この930型のボディは世界中で人気があることを感じます。ここ数年の空冷911の人気で、かなりの台数が海外に輸出されてしまっています。この先も日本国内の空冷911は減ることはあっても、増えることは無いでしょう。 ノンパワーのカッチリしたステアリングで時代を感じながら、それほど重くないクラッチペダルを奥まで踏み、ふらふらしてしまうポルシェシンクロのシフトレバーを1速に入れ、クラッチを上げてくると車は簡単に進んでくれます。スタート時にアクセルを踏んで回転を上げる必要はありません。スタートしてもエンジン以外が温まっていない時は、ゆっくりと確実な2速へのシフトチェンジをします。ミッションが冷えていてシフトが入りずらい時は無理やり変速しようとせず、一度ニュートラルでクラッチをつなぎ、再度2速へ入れます、必要であれば少しだけアクセルを開けて回転数を合わせてあげます。そうするとスムーズに入ります。3速、4速も同じです。数分間は車両全体が温まるのを待ちながらブーストが掛からない程度にゆっくり走ります。ミッション、デフ、サスペンション、全体が温まり、エンジンも油音計の針が動いてからブーストを掛けるようにしましょう。930ターボの室内から見るブーストが掛かった時の加速時の景色は格別です。これぞドッカンターボといえる加速は、視点の中心以外の周りが溶けるというか、流れるというか、ワープする感じです。930ターボのエンジン音を聞きながらの加速は、独特の世界です。993ターボとも964ターボとも違う、安全装置の無い車のドーピングエンジンである930ターボでしか味わう事ができない感じ。麻薬的とでもいえそうな感動を味わいます。ひとつひとつの動作がスリリングで楽しい車です。 現代の車は速い車はたくさんあります。でも、車が何も制御してくれないこのスリリングなドライビングを味わえる車はありません。速さだけではなく、この世界観をじっくり味わい、楽しみたいお車です。 この時代のポルシェ(他のメーカーも同じですが)には現代のような安全装備や快適装備は付いていません。911ターボは、ただひたすらにエンジンパワーと速く走らせる事を追及した車です。 いまでこそターボというテクノロジーは軽自動車にも搭載されています、車に詳しくない女性や子供でも知っている用語です。現代のターボは、エンジンをコンパクトに、排気量を小さくすることで燃費をよくする。その代わりにターボを使ってパワーを補う。いわゆるダウンサイジングターボです。しかし、1974年にポルシェ930ターボが登場したときには、そんな行儀のいい印象も、環境に優しいモードも一切ありませんでした。ターボという言葉は、過激で背徳的で、まるで違法な薬物であるかのような妖しいイメージのものでした。 わずか6気筒に3000cc程度のエンジン。なのに12気筒4000cc以上の巨大な心臓を積むスーパーカーを敵に回して一歩も引かない。小さなカラダにドーピングをして、巨漢に立ち向かう。そんな危険な香りを漂わせるものでした。 ポルシェ911ターボ。その始祖であるポルシェ930ターボは、悪魔に魂を売り渡すことで常人ならぬ速さとパワーを手に入れた、まるでゴーストライダーのような魔的な存在として、当時の少年たちの心を揺さぶりました。 ターボとは、正式にはターボチャージャーといいます。簡単にいうと、タービンを使って圧縮した空気を強制的にエンジンの中に送り込む仕組みです。 たくさん空気(酸素)があったほうが爆発力が高まるので、ターボ付きのエンジンは、実際より大きなエンジンと同等のパワーを発揮できます。まさしくドーピングです。排気管から廃棄されていた排気ガスの内部エネルギーを利用してタービンを高速回転させ、その回転力で遠心式圧縮機を駆動することにより圧縮した空気をエンジン内に送り込む。これにより廃棄エネルギーを回収しつつ内燃機関本来の排気量を超える混合気を吸入・燃焼させる。結果、機関としての熱効率が高まり燃料消費率が低減されるほか、排気ガスの有害成分を減少させることが可能となります。 このターボという技術は、もともと航空機に用いられていました。それを車にも活用しようとしたものの、ストップ&ゴーを繰り返す、陸上で走る自動車にはなかなか適用できず、多くのメーカーがチャレンジしては諦めました。当時の技術レベルでは、ターボチャージャーはエンジンを高回転させた状態(3000RPM以上とされた)を維持していなければ、効果を発揮できず、信号待ちや渋滞にはまるたびにタービンの回転が止まってしまう実用車では、まるで意味がなかったのです。 このような欠点がありながらターボチャージャーをサーキットで走るレーシングマシンの心臓として採用し、実戦で磨き上げ、公道で走るスポーツカーとして仕上げてきたのがポルシェだったのです。 もちろん当時単なる車好きの小学生だった僕たちに、そんな背景はわからない。ただ前述のように、馬鹿でかいエンジンを積む大排気量車たちがひしめくスーパーカーブームの中で、小柄で非力だったはずのポルシェ911が突如として、そのトップクラスの高性能車ブランドとして躍り出てきたことに、僕たちは熱狂したものです。 V型12気筒5000ccのスーパーカーと対峙する3000ccの6気筒のポルシェ911‼ 実際、日本のメーカーや、自動車のチューニング関係者たちは、このターボという技術に僕たちと同じく熱狂しました。効果はあるが制御しづらい、扱いづらいテクノロジーとしてのターボが、ポルシェによって突然手が届きそうな技術になったのです。その後日本はターボ技術を研究し、自分のモノにすることに成功しました。ポルシェ911ターボが、言葉では言い切れないくらい魅惑的で、衝動的で、悪魔的なパワーと衝動を日本人に与えたのです。 現在多くのクルマにもターボはついています。それなりに十分なパワーも出ます。 しかし、いま存在する巷のターボカーのほとんどは、冒頭のダウンサイジングの代償としてのターボであり、天を目指し、力を求めた、あの在りし日の”いけない”衝動の結果とは違うのです。ただ、ひたすらパワーを求め、過激なまでの上昇志向に全身を浸すことができたであろう時代のポルシェ911ターボの、切ないばかりの輝きを、いまこの時代にもう一度味わってみるのはいかがでしょうか。 930ターボの変遷は以下の通りです。 1973年のフランクフルト・ショーで、レーシングカーさながらのスタイリングを持つターボ車がデビューしました。その名も「930 turbo」。同時にデビューしたターボ車はBMW2002でしたが、930turboの衝撃はそれをもかき消すぐらいであったと語られています。ほとんどRS3.0と同じスタイルで2.7Lエンジンにエーベルスペヒャー製ターボチャージャーを組み込み280㎰、最高速度280Km/hを誇りました。 そして、それ以後市販スポーツカーにもターボの装着が普及し、そしてポルシェは911ターボの歴史を刻み始めました。 市販型930ターボのお披露目は、1974年のパリ・サロンで発表されました。 エンジンは76年のカレラRS3.0をベースとした930/50型、ポルシェ伝統の空冷フラット6エンジンを搭載し、ボッシュKジェトロに圧縮比は6.5:1と低めに設定され、ターボチャージャーはエーベルスペヒャー製に変わり、KKK製3LDZ型を装着、ブースト圧は0.77バールに設定されていました。 結果、性能はプロトタイプより少し落ちましたが、260ps/35.0kgm、最高速度250km/h以上と、当時としては驚異的パワーでした。トランスミッションは4段のポルシェシンクロに足廻りはΦ18前後スタビライザーに、フロント独立マクファーソンストラット/トーションバー、リア独立セミトレーリングアーム、トーションバーを、タイヤはF185/70/15,R215/60/15を装着していました。勿論市販車でR215/60/15を履いたのは930turboが初めてです。 1976年からF205/50/15R225/50/15のピレリP7が装着されます。マフラーは左出しシングルで、インタークーラーは装着されていません。3リッターでも3500~5000rpmの加速は強烈で、まさに「異次元感覚」的なものです。サーボ無しのブレーキは加速とは裏腹に効かなくて怖いものだったと池沢さとしさんが語っていたように、勿論フェードもしやすかったそうです。 1978年にエンジンのスケールアップとインタークーラーが装着されました。 930ターボから911ターボに名前が変更されました。 3.0Lから3.3Lにアップされた排気量はボアアップだけでは実現できず、ストロークもアップしています。Φ97×74mm 3281cc 圧縮比は7.0:1 300㎰ 40kgを発生。日本仕様はサーマルリアクター(触媒以前に使われた装置)がついて265㎰ 40.3kgです。 空冷インタークーラーをエンジンフードの真下に装着した為、位置を少し上げグリルが平らな形になったリアウイングは、ラバー部に折り返しがついたデザインとなります。タコメーター内にブースト計が移動し、一番右は時計となります。 クラッチはディスクハブにラバーを組み込んだフレキシブルタイプとなり、 エンジンの位置が30mm後退しました。ブレーキはブレンボが新設計したキャリパーを持ち、ドリルドベンチレーテドディスクが装着されました。このブレーキはレーシングカーの934にもストックで採用されたものです。 1980年~1988年迄はマイナーチェンジが続きます。 1980年にはマフラーが左出しのデュアルタイプとなりオイルクーラーはフィン付きのチューブタイプとなりました。 1981年には日本仕様のターボが製造中止に。 1983年ようやく日本仕様復活。この時日本専用触媒が付きました。 1984年にはチェーンテンショナーの変更と、オルタネーターの容量アップがされ、バンパー埋め込み式のフロントフォグが採用されました。また、フロント右フェンダー上にあった格納式のアンテナが廃止となり、フロントウインドウに埋め込まれるブースター付きとなりました。そしてステアリングが3本スポークから、4本スポークのものへ変更になりました。 1985年はサスペンションのセッティング変更を受け、フロアパンバルクヘッド周りの肉厚が0.75mmから1.0mmとなり、ボディ剛性がアップしました。 1986年には新型のインパネ=エアアウトレットの大型化、シートが20mm低下し、リアタイヤが9J 245/45/16になりました。 1989年に、それまでの4速MTから5速MTになりました。 この930ターボは1986年の4MTです。巷ではポルシェシンクロが運転が一番難しく、これを使いこなせれば何でも乗れると言われていました。今までお乗りになったことが無い方は、最初戸惑うと思います。しかし、それがスムーズに乗れるようになった時、代えがたい喜びを味わうのです。 新型ポルシェ992型が出るというこのタイミングで、930ターボに乗るカッコ良さ。クラシックカーの魅力に浸かってください‼ ソリッドブラックの外装にブラックレザーのインテリアです。硬派な佇まいです。新車当時に大流行したRUF17インチアルミホイールとステアリングは、今見ても似合っています。 クーラーは正常に効き、ヒートエクスチェンジャーのヒーターも正常です。 フロントフード内のカーペットは綺麗な状態を保っています。スペースセーバースペアタイヤとエアポンプも在ります。アルミ製純正ジャッキ、車載工具も揃っています。フロントフード裏の車両データステッカーが残されています。 カラーコードステッカーやシリアルナンバープレートも綺麗に残っています。これらは、事故を起こした車両は綺麗には残らないものです。 いままで32年間大切にされてきた930ターボです。これから大切にして頂ける方、ご連絡をお待ちしております。 |